採用サイト制作 ここがポイント

いざ採用サイトを作ろうと思っても、何をどう考えればよいのかわからない。他社の採用サイトを見て、似た項目を何となく入れてみて、良いかどうかわからないけどとりあえずできたから公開…。

まさに今そんな状況にあったり、近い状況が見込まれるのなら、まずはここでご紹介するポイントを参考にしてみてください。採用サイト制作にはいくつものフェーズがあるので、それぞれのフェーズで立ち返っていただくことでも役立つと思います。

1.採用サイトを作るのは採用のため?

まず、そもそもなぜ採用サイトを作るのか。

もちろん「採用のため」ですが、それは採用サイトの目的以外にも多くの要素を含んでいるため、もっと採用サイトだけに焦点をあてて考えます。「採用のため」とは言い換えれば「採用活動を成功させるため」。そのために一連の採用活動の中で採用サイトをどのように位置づけ、採用サイトによってどんな効果を得たいのかを考えます。もっと具体的に言えば、採用活動でうまくいっていない点をピックアップし、その中で採用サイトを使って解決できそうな点を探します。

応募がない、
応募があっても採用したい人物像とは異なっている、
応募から面接までの間に辞退されてしまう、
内定を出しても他社と競合したときに負けてしまう、
採用した人がスグに辞めてしまう…など、
様々な課題が想定されますが、そこには必ず原因があります。
そのうち、どこを採用サイトで解決するのか。もちろん採用サイトで解決できることもあれば、できないこともあります。つまり、採用サイトを考えるということは、採用活動全体を、もっと言えば入社後(少なくとも戦力化するまで)の期間全体を考えることと言えます。

そうやって考えた末に設定する採用サイトの目的は、内容が何であれ、大半は求職者の心理にどのような変化を生みたいのかに着地します。もちろん各社の状況によって、その内容は異なります。この時点で、「他社が打ち出している内容をそのまま踏襲することには意味がない」と言えます。

さて、実際にこの視点で考え始めると、会社を理解して欲しい、ビジネスモデルを理解して欲しい、社風を感じて欲しい…いろんな「欲しい」が生まれてくるのではないでしょうか。採用サイトに込めたい意思が生まれたので、まずは一歩前進です。

でもそれは、貴社が一方的に伝えたいことではないでしょうか。採用活動はどこまで行っても、どんなカタチになっても、つまりは人と人のコミュニケーション。伝える相手を無視しては、コミュニケーションは成立しません。伝える相手、つまり求職者は、何を知りたいと思っているのでしょうか。ここは調査データが各社から公表されているので参考にしてみるのも良いですが、まずは自社内に転職者がいれば、どのように転職先を探し、なぜ自社に決めたのか、赤裸々なところを聞きくことから始めるのも一手です。実際に転職してきた人がいるわけですから、最も身近な採用マーケティングを行わない手はないと言えます。
そこで求職者側の視点に立ち、採用活動の課題解決を考えた時、採用サイトを作ることで解決できそうなことが見えてきます。それが、採用サイトを作る目的です。

2.採用サイトを作る際のポイント

・採用サイトの項目は似たものが多くなる

採用サイトを作る目的が決まったら、格段に話は進めやすくなります。というのも、見た目や見せ方は様々ですが、採用サイトに載せる項目は、ある程度共通しているためです。

<採用サイトによくある項目>
・事業内容説明
・企業紹介
・仕事内容
・社長メッセージ
・社員インタビュー
・福利厚生紹介
・募集要項
・エントリーページ

時々、「ありきたりなサイトではなく、斬新なサイトにしたい。」という声を耳にします。でも、決まりきった項目には「決まりきるだけの理由」があります。それは、求職者が知りたい項目だから。すごくカッコ良いイメージ動画、ゲームのようなコンテンツなど、珍しかったり話題になる採用サイトはいくつもあります。もちろんそれが採用活動の課題解決に繋がっていれば良いのですが、見た目だけを意識してマネしても、肝心の採用課題が解決しないのなら何の意味もありません。なぜなら求職者は変わったコンテンツを見たいのではなく、仕事として、職場としての情報を知りたくてサイトを訪問しているからです。その求職者の知りたい声に耳を傾けると、上記のような項目となるのは業界や職種、企業規模問わず共通の事実です。

もちろん項目が同じだからと言って伝え方まで共通ではありません。繰り返しになりますが、「何を伝えるか」は採用活動上の課題から見つけ出すことですが、それを「どう伝えるか」は表現の領域です。その自由度まで失うわけではないので、充分に個性を出したり採用競合と差別化を図ることは可能です。気を付けるべきなのは、あくまで「何を」を無視して「どう」だけを気分や感覚、好みで追求しないようにすること。そこに求職者がいないなら、その採用サイトの効果は残念ながら見込めないと言わざるをえません。

・項目の優先順位の付け方

同じような話で、これら共通の定番項目についても、どの項目を強調すべきかという話がよく持ち上がります。
ある人は社風だと言い、ある人は仕事内容だと言う…。ここまでお伝えすればもうお察しかと思いますが、どの項目を強調すべきかは、どこに課題があるかで変わります。

よくある話を例に、具体的に考えてみます。とてもフランクで楽しそうなサイトの雰囲気を社風だと思って入社したら、確かに社風はフランクで楽しいものの、業務に関してはかなりストイックな一面があり、そのギャップに早期退職が後を絶たないという採用上の課題を抱える企業があるとしましょう。この場合、改善すべきポイントはどこなのでしょか。

業務に関するストイックな一面が伝わっていないことは、確かに要因の1つと言えそうです。では、フランクで楽しい職場のイメージだけでなくストイックな業務上の一面も伝えれば解決するのか。あくまで仮の話ですが、それでうまくいくとは思えません。ここで冒頭に触れたことに立ち返りますが、採用サイトを考えるということは、採用活動全体を、もっと言えば入社後少なくとも戦力化するまでの期間全体を考えること。

採用する側には、その採用を通じて描く事業戦略があるはずです。となれば採用したいのは、その事業戦略を推し進めてくれる人。そのためには両方の側面を伝えるというよりは、業務面のストイックさから得られる緊張感や高揚感、成長感、達成感に惹かれて応募してくれる人の方が求める人物像に近いのではないでしょうか。
つまり変えるべきは、伝える内容というより伝える相手。もう、どの項目を強調すべきという話とは違うところに着手すべきポイントが見えてきます。
「誰に、何を伝えるか」とは広告を考える際によく言われる基本ですが、それは広告に限ったことではなく、コミュニケーション全般に言えることです。

伝えたいことが決まったら、あとはどう伝えるのか。気持ちが伝わるテキストを書くのか、わかりやすい図版を用いるのか、動画で視覚的に訴えるのか…。予算、実現可能かどうか、自社らしさはどうか…いくつもの要素がここには絡んでくるので、最も時間をかけて検討を重ねる部分になります。
結果、とても印象的な伝え方をしたサイトが話題になるのですが、ここだけを切り取ってしまうと大失敗してしまうというのは、前述した通りです。


まとめると、採用サイトを作るときのポイントは、項目でも見せ方でもなく、以下の3点だと言えます。

・採用活動のどんな課題を解決したいのか
・その課題が起きている原因は何なのか
・その原因を解消するには誰に何を伝えればよいのか


いかがでしょう。
サイトを作るとなると、いろんなサイトを見て参考にしたくなるものですが(もちろん参考にすること自体は悪いことではありません)、パッとサイトを見てこのポイントまで遡るのは至難の業と言えます。それよりまずは自社内に目を向け、じっくり掘り下げることから始めないと採用サイト制作はなかなかうまくいきません。何より、「よし、これでいこう」と最終判断する基準がないので、それで良いのかどうかわからないまま、何となくの好みや感覚で進めてしまうことになりかねません。そこに多くの時間・予算・労力を費やすよりは、キッチリとポイントを押さえて順序立てて進める方が、自社の採用課題の解決に役立つサイトが作りやすいと思います。
ポイントがうまく探せない、採用課題の見つけ方自体がうまくいかないといった時は、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

広部貴司

リクルート発行の求人広告制作を経て、2014年上級ウェブ解析士を取得。以降、特定の商品に限ることなく、リアルもウェブもペイドメディアもオウンドメディアも含めてトータルで最適な採用手法の提案を心掛けています。