GoogleAnalytics まずはここを見て採用効果改善

Googleアナリティクスを使うことで、ウェブ上での様々な動きを可視化できますが、これはサイトに限ったことではなく、1ページだけでも解析は可能です。今回はその一例をご紹介します。
ピックアップするのはランディングページという1枚の専用ページ。求職者との接点はウェブ広告で作ることとします。

1.ランディングページ×ウェブ広告

・ランディングページとは?

まず、ここで使用するページについてご説明します。
想定したのはランディングページと呼ばれる今回の募集専用に用意したウェブページ。何ページもある通常のサイトとは違い、1ページだけで縦に長く作られるケースが多いです。
「ランディング」というのは、飛行機の着陸と同じ意味で、ウェブ上の別の場所から最初に入ってくるページを指します。厳密に言えば、何ページもあるサイトでも最初に入ってくるページは必ずあるので、それもランディングページなのですが、今回のようにウェブ広告を使って集めた場合に呼び込む専用のページのことを特に指して、便宜上「ランディングページ」と一般的には呼ばれています。

・ウェブ広告とは?

ウェブ広告とは文字通りウェブ上に展開する広告のことで、ここでは詳細な説明までは割愛させていただきますが様々な商品があります。ここでは一旦、設定した検索ワードで検索した人に広告を表示するリスティング広告と様々なサイトの広告スペースに広告を配信するディスプレイ広告を使用した場合をイメージしてください。

2.解析からの改善

・目指すカタチ

狙うのは、次のような流れです。

ディスプレイ広告で知る

何度か目にして検索する

検索結果画面のリスティング広告から誘導する

ランディングページを見る

応募

最初から狙い通りの流れが作れれば良いのですが、なかなかそうはいきません。途中で流れから外れてしまったり、止まってしまったり、同じところでグルグル動かなくなったりと、実際には狙った通りの動きの実現には様々な改善が必要になります。その改善ポイントも案件や時期、世の中の流れによって毎回変わりますし、運用中にも変わり続けますが、常に次の2つの視点から注意深くデータを読み解き、解析を行います。

<変わらない視点>
・見てほしい人に見てもらえているか(ウェブ広告領域)
・見てくれた人が応募してくれているか(ランディングページ領域)

今回はGoogleアナリティクスを用いた解析の話なので、ウェブ広告領域の話ではなく、「見てくれた人が応募してくれているか」についてお伝えします。実際にはケースに応じて注視するポイントは変わってきますが、その中でも基本となる事項について今回は取り上げます。

・基本項目の読み方

どれくらい見てくれた?

「何人」とか「何回」ではなく、あえて「どれくらい」と曖昧になっているところが実はポイントです。それはGoogleアナリティクスの仕様が大きく関係しています。Googleアナリティクスでこの「どれくらい」に含まれそうな項目のうち、代表的なのはユーザー、ページビュー数、セッションといったところですが、それぞれの表す内容を正しく認識しておかないと、見誤ってしまうので注意が必要です。

ユーザー>
Googleアナリティクスのユーザー数が表すのは、見た人の数ではありません。ここで数えられているのはブラウザのユニーク数です。ブラウザとは、ウェブページを見るためのソフトのことで、PCならGoogleChromeやEdge、internet explorer、iPhoneで言えばsafariなどがブラウザにあたります。例えば1人がPCのGoogleChromeでサイトを閲覧した後、iPhoneのsafariで再び同じサイトを閲覧すれば、実際に見ている人は1人でも、グーグルアナリティクス上のユーザー数は2となります。

<ページビュー数>
ページが読み込まれた回数を指します。そのため1人のユーザーが複数回ページを読み込めば、ユーザー数1に対してページビュー数が5や6、時にはもっと大きな数になることも充分にありえます。

セッション>
セッションとは、Googleの公式ヘルプによれば、「特定の期間にウェブサイトで発生した一連の操作」を指します。つまりサイトに入ってから出るまでに行った一連の動きです。例えば、複数のページを見たり、何かの申し込みをしたり、問い合わせをしたりといった全てを1つのまとまりとして数える単位です。ただ、注意が必要なのは、セッションが終了したと強制的に判断されるケースがある点です。いくつかありますが、ここではGoogleアナリティクスを知らない方でもわかるケース2つを取り上げます。

■30分間何も操作しない場合/電話がかかってきて席を離れたり、複数のタブを立ち上げていて放置したりして30分間何も操作をしなかった場合に途切れます。この30分というのは、セッションが開始して30分なので、背後のタブに隠れて見えない状態でもセッションは継続していることになります。ウインドウを2つ立ち上げていても同じです。例えばスマホで複数のタブを立ち上げたままにしている場合、見ている本人は続きの感覚でも、Googleアナリティクスは別々のセッションとしてカウントするということです。

■日付が変わった場合/日付が変わるタイミングでセッションは一旦途切れ、新たな日付は新たなセッションとしてカウントが始まります。この特殊な仕様の影響で他の数値と合わせた時に数字が合わないことがあります。特に指定した期間の最初や最後に月初や月末を含んでいると数字の不一致は起こりがちです。どうしても数字が合わない時、一度この視点で確認してみるとつじつまが合うこともあります。

このようにGoogleアナリティクスで取得できる数値は「何人」や「何回」で測れるものではないため、見られた量について「どれくらい」と表しました。

いつ見てくれた

「いつ」という軸で見た場合、Googleアナリティクスでは月ごと、曜日ごと、日ごと、時間ごとにカンタンに見比べることが可能です。特に募集する案件によっては閲覧の曜日が特徴的な傾向になることも珍しくありません。業界特有の平日定休日などがあれば、同業者が見ている可能性を探ることができます。また、時間についても閲覧の多い時間帯で、どんな人が見ているのか見えてくることがあります。曜日ごとの時間帯分析を行えば、生活のペースがよくわかることも多いです。

例えば、昼間のパート募集ページで平日の14時や15時に閲覧する人が多かったとします。立地や周辺環境にもよりますが、この時間に手が空く人でパート募集を探している人といえば…例えば飲食店のランチタイムが一段落したタイミングなど、曜日と時間帯がわかるだけでもどんな人が見ているのか想像(妄想)する手掛かりは生まれます。

このように数値について見る際も、常にその向こう側にいる閲覧者を見据えて読むことで効果改善の糸口は見えてきます。

どこまで見てる?

ページを見に来た人が、必ずしもページの最下部まで見てくれているとは限りません。ページのどこまでを閲覧したかを事前に測れるようツールや計測用の仕掛けを施しておくことで、ページのどの部分で読むのをやめる人が多いのかがわかります。例えばページの最初の部分で離れてしまう人が多いようなら、最初に書いてあることが既に興味のないことである可能性が高いと言えます。その場合は、そもそもどこからどんな文言を見て入ってきたのかまで遡り、内容の修正を検討し、実行します。修正したら、再びデータで検証し修正の効果を測ります。ページの特定の場所で読むのをやめる人が多ければ、そこに何が書いてあるのかを検証し、修正を加えて再びデータを検証します。


今回ご紹介したのは基本事項だけですが、データを取得するほどに段々と閲覧している人の人物像が浮かんできます。他にも様々なデータが出揃ってくると、普段はどんなペースで生活をしている人なのか、その中でもどんな点を気にして仕事を探している人なのか…見えてきた人物像が知りたいことは何なのかを考え、打ち出す内容をマッチさせやすくなっていきます。もちろん複数のページがあるサイトの方が多くのデータが取得できるので、人物像もより鮮明に見えやすいですが、1ページだけの運用でもやれることはありますし、何の手掛かりや参考データもなしに勘や感覚だけで改善点を模索するより、はるかに効率的な採用活動が行えるようになります。


いかがでしょうか。

今回はほんのさわりだけのご紹介なので、もっと詳しく聞きたいということであれば、お気軽にお問い合わせください。
数値や情報を取得して単純に数値を分析するのではなく、解析することでリアルな求職者の像をイメージしながら改善策を打つのが採用におけるウェブ解析。検証と試行を繰り返すことで採用活動の持続的な改善が可能となります。

この記事を書いた人

広部貴司

リクルート発行の求人広告制作を経て、2014年上級ウェブ解析士を取得。以降、特定の商品に限ることなく、リアルもウェブもペイドメディアもオウンドメディアも含めてトータルで最適な採用手法の提案を心掛けています。