今更聞けない!? Indeed指標解説(後編)

(前編)はこちら 

Indeed広告運用の効果測定に欠かせない指標のチェック。つい数字だけを見て良し悪しを判断してしまっていませんか?
正しく指標が読み取れるようになると求職者の心理行動が理解できるようになり、それを基に具体的でオリジナリティのある改善策を提案することができます。今回は後編として、残り4つの指標について解説していきます。

応募開始数

応募開始数は「原稿内の【応募画面に進む】または【応募先へ進む】ボタンを押した数」です。
一般的な流れとして、求職者は検索結果一覧で興味を持った求人をクリックし、原稿詳細内容まで読み終えた段階で応募意欲が十分に高まっていれば応募画面へと進みます。そのため応募開始数が十分に獲得できていれば「原稿詳細の内容で求職者の応募意欲を高められている状態」と捉えることができます。見方を変えると「興味を持ってクリックしてきた求職者を原稿詳細の内容できちんと納得させられている状態」とも言えます。

応募開始数が少ない場合は以下のいずれかであると考えられます。

(1)そもそもクリック数が少ない
(2)クリック数は十分に獲得しているが、応募開始率が低い
(3)クリック数が少なく、応募開始率も低い

応募開始数を増やすには

(1)クリック数を増やす
(2)応募開始率を改善する
(3)クリック数を増やし、応募開始率も改善する

とそれぞれ打ち手が異なります。前編で解説したクリック数と同じく、応募開始数もそれ自体に直接アプローチするのではなく別の指標から間接的にアプローチするため、応募開始数が少ない場合はクリック数応募開始率、状況によっては表示回数にも注目してみましょう。

応募開始率

応募開始率は「クリック後どれだけ応募開始されたかの割合」で、応募開始数÷クリック数で求められます。
こちらは応募開始数や次に解説する応募完了率と共に、2021年6月から新たに追加された指標になります。そのためIndeed公式から平均値は公表されていませんが、弊社内の実績を参考にすると目安は2.5~3%です。
3%を超えていれば高く、逆に1%台の場合は低いとみなすことが多いですが、あくまで応募開始率も割合のため、応募開始数に対してクリック数が多ければ応募開始率は下がりやすくなります
割合の数値そのものだけを見るのではなく、前後のクリック数や応募開始数と併せて確認しましょう。

応募開始率が低い場合は「原稿詳細を通じて求職者の応募意欲を十分に高められていない状態」と考えられます。より具体的には「原稿詳細内容に矛盾を感じたり、疑問など引っ掛かる点がある状態」あるいは「特に引っ掛かりはないものの、求職者自身がなんとなくしっくり来ていない状態」です。よって応募開始率を高めるためには「一覧情報も含めて原稿内容に矛盾や疑問が生まれない状態」にし、かつ、「読み手の求職者が「これは自分に向けて言ってくれている」と感じられる状態」にすることが必要です。

例えば、職種名と仕事内容で整合性がしっかりと取れているか?
実際には内勤営業の募集なのに、クリックを集めるために職種名では「事務」と記載していたら?
これらは求職者からすれば矛盾を感じるだけでなく、その求人や企業に対して不信感を持つかもしれません。

また原稿内で専門用語や、企業独自の言葉・表現を多用するのも避けるべきです。
企業や代理店には通じても、求職者皆に同じように通じるとは限りません。
未経験者を募集する場合は特に注意が必要です。
誰が見ても内容を正しく受け取れる表現を心掛けましょう。

矛盾や疑問が生まれないようにした上で最も重要な「読み手の求職者が「これは自分に向けて言ってくれている」と感じられる状態」にするためには【誰に何を伝えるか】を意識した原稿作りが必要不可欠です。
こちらに関しては別記事に詳しい解説がありますので、ぜひそちらを参考にしてみてください!

応募完了率

応募完了率は「応募開始後どれだけその応募を完了させてくれたかの割合」です。
求職者は検索結果一覧から興味を持った求人をクリックし、原稿詳細内容を見て良いと思ったら応募フォームに進みます。その後フォーム項目を不足なく入力し、最後に【応募する】ボタンを押すことで応募完了となります。つまり応募完了率は「応募開始後どれだけフォーム入力で離脱せずに最後まで進んでくれたかの割合」とも捉えることができ、応募数÷応募開始数で求められます。

応募完了率が低い場合、「求職者は応募フォームの途中で離脱してしまっている状態」と言えるため、応募フォームの見直しが必要となります。

例えば直接投稿型の求人の場合、Indeedの応募フォームを利用することになりますが、
余分な質問項目が設定されていないか?
・採用に直接関係のない質問が設けられていないか?
・あるいは履歴書応募が必須設定になっていないか
(敢えて必須にする場合を除きます)

求職者にとって応募フォームの入力は手間になるものです。せっかく原稿内容を見て応募意欲が高まっていたとしても、不必要な質問に答えなければいけなかったり、添付書類が必須となり別で準備が必要になると、応募を後回しにしてしまったり、応募意欲が下がってしまう可能性が上がります。

一方でクローリング型の場合、求職者は該当求人が掲載されているサイトに遷移して応募フォームを探しそこで入力を進めるパターンが大半となりますが、遷移先のサイトの読み込みが遅ければ待っている間に諦めて離脱してしまうかもしれません。またスムーズにサイトに遷移できたとしても、応募までの導線が分かりにくければそこでも離脱が生まれてしまう可能性が高まります。

なお遷移先サイトで応募となる場合、Indeedアナリティクスで応募数のカウントはされません
それに伴い応募完了率も全て0%、計測不可となってしまいます。
遷移先サイトにGoogleAnalytics4等が導入されていればそちらで別途データ集計が可能となりますが、Indeedアナリティクス上の指標やデータと連携ができない点には注意が必要です。

応募フォームが投稿方法や求人によって様々なため、応募完了率の平均値や目安は公表されていません。
また求職者によっても左右されるため、継続的に100%を維持することもほぼ不可能です。
そのため他の指標と比べてそこまで重視せず、この指標をKPIとして握ることも少ないですが、応募開始数に対して極端に応募数が少ない場合は応募フォームの見直しを行ってみましょう。

応募数

応募フォームを経由して応募を完了してくれた数」が応募数としてカウントされます。
電話で直接応募の申し込みがあった場合は応募数にカウントされないため注意が必要です。
求人によっては電話経由での応募が多く、データ上では応募数が少ないのに実際は想像以上に多数応募が来ていた、ということもよくあります。

逆に、データで見る応募数よりも企業側で認識している応募数が少ないこともあります。
また計測の都合上まれにIndeedアナリティクスの応募数カウントにズレが生じる場合もあります

何よりも重要なのは、応募の数ではなく質です。
最終目標はあくまで採用であり、応募はそこに至るまでの1つのステップです。
例えば10件以上の応募を獲得できたとしても、その全てが採用に至らなければ上手くいったとは言えません。
反対に、応募は1件のみだったとしても、その応募者がきちんと面接、採用に繋がり、入社後に活躍してくれれば採用成功と言えます。

データを見て応募数が多いとついそこにばかり目が行きがちですが、実数はどれくらいなのか、その応募者の質はどうだったのか、必ず詳細まで確認する癖を付けましょう。

おわりに

直近1月末からは新たに「IndeedPLUS」の提供が始まりました。
これにより今までをはるかに上回る数の求人と競合することになります。
そうなるとこれまでセオリーとされていた画一的な改善策を実行するだけでは競合他社との差別化ができません

一方で、提供されるデータ、指標は皆等しく同じです。
その指標を正しく理解し、数値を読み取り、そこから求職者の行動心理を把握する。
求人原稿内容と照らし合わせて、今の運用で不足しているものが何かを探す。
これだけでしっかりと効果アップに繋がる改善策の提案ができるようになります。
また、世の中に全く同じ求人は存在しないため、その提案はオリジナリティのあるものにもなります。

採用環境が大きく変わる今こそ、基本に立ち返って考えることが非常に重要です。
ぜひ自分のアカウントの指標と数値を読み取り、具体的な改善策に繋げてみてください。

この記事を書いた人

西脇綾子

2019年4月新卒入社。
半年間の営業経験を経てWR部に異動、以降はマーケットリサーチャーとしてindeed運用管理・振り返り・改善提案を主業務として行っている。
2020年11月上級ウェブ解析士資格取得。