求人サイトIndeedの可能性と限界

皆さんはIndeedに対してどんなイメージをお持ちでしょうか?他の求人メディアと比べて応募が集めやすい?それとも掲載しても全然効果がないものでしょうか?今やすっかりお馴染みとなったIndeedですが、求人サイトとして日々アップデートされており、数年前と今では検索ロジックも大きく変化しています。

今回はそんなIndeedの可能性と限界についてお話します。

そもそものIndeed検索の仕組みは?

まずは現在のIndeedの検索方法と結果の表示ロジックについて簡単に説明します。
求職者は基本的に「勤務地」と「検索キーワード」を入力して検索を行います。

の時、雇用形態や職種カテゴリー、給与範囲を絞り込むことも可能です。

求職者から検索がリクエストされたらIndeedは結果をレスポンスするのですが、この時にただ検索条件に当てはまるものを「提示」するのではなく、Indeedの場合はAIが登場し、求職者の過去の検索履歴や似たような求職者の動向などから検索条件に当てはまるものの中でその求職者によりマッチしているものに絞り込んで検索結果として「提案」します。

そのためまったく同じ条件で検索しても人によって検索結果や表示順位が異なります。AさんとBさんが同時に同じ条件で検索し、Aさんの検索結果では最上位に出てきた案件がBさんの検索結果では全く出てこない、なんてことは今のIndeedではよくある事象です。

以前は求職者の検索キーワードに基づいて結果が表示されていましたが、今ではここにAIの存在が加わり、検索してきた求職者によりマッチしそうな案件に絞り込んで結果が表示される仕組みとなっています。

Indeedの強み

検索ロジックなど日々アップデートし続けているIndeedですが、残念ながらどんな求人に対しても効果を発揮できるわけではありません。やはり強みもあれば弱みもあります。ここからはIndeedの強みと弱みをそれぞれ3つずつ紹介していきます。

まず強みの1つ目は前述したAIがもたらす「マッチング度の高い求職者との出会い」です。
過去は求職者の検索キーワードに基づく結果表示だったため、極端に言えばキーワードさえ追加すればとにかく検索結果には引っ掛けやすい状態でした。

とはいえ求職者からしてみればあまり興味のない求人が表示されることも多く、検索結果一覧からクリックして案件詳細ページに進もうとはなかなか思ってもらえません。例えクリックして応募に至ったとしても、採用企業側でも「社風とマッチしない」「求めている経験が異なる」となり採用できなかったことが度々あったのではないかと思います。

しかし今では求職者の検索履歴や似たような求職者の動向も踏まえて結果が表示されるため、そもそもマッチしている求職者に案件が見られやすくなっています。求職者としても自身が求めている仕事を発見しやすくなり、応募意欲も高まりやすいはずです。

強みの2つ目は「人気案件の応募が伸びやすいこと」です。
前述の通り、AIは似たような求職者の動向を参考に検索結果を提案するため、検索者と近しい求職者たちがよく応募する案件(≒人気案件)に対して「この求人は同じような履歴を持つ求職者にとって有益である」と判断します。そのため人気案件ほど検索結果への表示回数が増えやすくなり、発見される機会が増える分応募へと繋がる可能性も高まります。

検索ロジックの詳細は公表されていませんが、参考指標として案件の応募開始率やクリック率が挙げられていることからも、よくクリック・応募される人気案件であるほど効果は伸びやすいと言えます。

強みの3つ目は「掲載期間と広告費を自由に選べること」です。
一般的に求人メディアに広告を掲載する場合、広告のサイズと掲載期間が予め選択肢として決まっており、その中から選ぶことになります。広告のサイズがアップすればするほど発見性が上がりクリック数も増える傾向にありますが、その保証はなく、仮にクリックが数回しかなかったとしても既定の掲載料を支払わなければなりません。

それに対してIndeedはクリック課金型広告となり、クリックされた分だけ費用が発生します。広告費によって求人の表示サイズが変わることもなく、高い広告費を払っているから必ず検索結果の上位に表示されるわけでもありません。また掲載期間はキャンペーン設定にて日単位で掲載期間を選択することができます。

Indeedの弱み

強みがある一方、大きな弱みもまた抱えています。

弱みの1つ目は「発見性のコントロールができないこと」です。
同じ検索条件であっても人によって検索結果が異なるということは、言い換えれば「検索条件に合致していても表示されないことがある」となります。そのため以前と比較して業種・職種を問わず表示回数は減少傾向にあります。

さらに人気案件であるほど表示されやすいため、その逆で不人気案件は表示されにくくなります。同じ職種の募集であっても給与や条件待遇が大きく異なる場合、両者で表示回数は勿論、応募数にも大きな差が出るでしょう。

弱みの2つ目は「求職者数が少ない案件はマッチングが機能しにくいこと」です。
例えどれだけ良い求人であっても、それに応募してくれそうな求職者がIndeed内にいなければAIも検索結果として提案することができません。
例えば池で釣りをするシーンをイメージしてみてください。
釣り上げられる魚の数は池の中を泳いでいる数より多くはなりませんよね。どれだけ釣りが上手な人でも池の中に魚がいなければ釣ることができず、必ずどこかで限界に達します。Indeedもこれと同じで、採用対象者がいないことにはマッチングさせることもできません。

弱みの3つ目は「即時効果が見込みにくいこと」です。
マッチングさせるためにはAIもどんな人に表示していくべきか学習する必要があり、実際に有料運用を行う場合は学習期間が発生すると言われています。そのため短期間で掲載して多数の応募獲得を目指すのには向いていません。(短期間で応募が来ないというわけではありません)

求人メディアであれば短いものだと週単位での掲載となるため、それに慣れていると掲載開始から数日経過して応募がないと「効果ないのかな…」と心配してしまいがちですが、Indeedの場合は掲載開始から数日であればまだ学習期間の途中と言っても過言ではありません。
短期間で応募を集めたい、採用につなげたい場合はIndeedだけでは目標達成が難しいため、別の採用手法も視野に入れる必要があります。

Indeedの「可能性」と「限界」

ここまでIndeedの強みと弱みをそれぞれ挙げてきましたが、では私たちは採用活動においてIndeedの存在をどのように捉え、何に気をつけて活用していくのが良いのでしょうか?

私としてはそれぞれ3つの強み・弱みから考えると、Indeedは少ない費用でも多くの応募や良い人材の獲得ができる「可能性」を含んでいる一方で、時期や職種、エリア毎の求職者数などの外的要因に左右されやすいものであり、スピード感や集められる人材の数には「限界」があると捉えます。

勿論下限はありますが、決して高額な広告費を使わなくても上手くマッチングさせることができれば応募単価(または採用単価)を抑えつつ良い人材を集めることができるのがIndeedだと思います。とはいえデメリットも同時に存在するため、全ての求人に対して闇雲にIndeedを適用させるのではなく、都度募集する案件がIndeedに向いているかどうかをよく吟味することが大切です。

おわりに

Indeedは月間訪問者数が圧倒的に多いこともあり、一見全ての求人募集に対して強いと思ってしまいがちです。ですが実際には「可能性」と「限界」の両方を持っており、これを踏まえていないと本当は集められる応募も集められず、ずっと採用できないという事態にもなりかねません。
場合によってはIndeedと求人メディアでそれぞれ役割を分けて掲載することも必要です。また、AIによるマッチングが行われるということは、その参考材料となる案件の中身、すなわち原稿内容も非常に重要となります。

Indeedの「可能性」と「限界」を正しく把握し、良いマッチングを生むために原稿内容もしっかりと考えること、これが今後Indeed広告で効果を出していくために必要なことではないでしょうか。

この記事を書いた人

西脇綾子

2019年4月新卒入社。
半年間の営業経験を経てWR部に異動、以降はマーケットリサーチャーとしてindeed運用管理・振り返り・改善提案を主業務として行っている。
2020年11月上級ウェブ解析士資格取得。