求人広告を作成する時に気をつける法律は?第一回『男女雇用機会均等法』について

新しい人材を採用したいとき、ほとんどの企業が利用するのが求人広告。
どんな情報を記載するのか?誰をターゲットにするのか?多くのことを考える必要がありますよね?
しかしながら求人広告は自由なカタチで作成して良いわけではありません。
実は様々な法律で記入する内容を具体的に定められています

例えば…
・労働基準法
・男女雇用機会均等法
・年齢制限の禁止
・最低賃金法
など

どれも調べれば調べるほど「?」となってしまうような難しいものばかりですが、今回は中でもよく間違いやすい上、違法と認識しないまま作成してしまいがちな「男女雇用機会均等法」について簡単にお伝えします。

男性と女性、限定して募集しちゃいけないの?

募集や採用において男女で異なる扱いをすることは法令で禁止されています。
男女雇用機会均等法では、

■募集・採用において性別に関わりなく均等な機会を与えなければならない。
■配属や昇進、教育訓練や福利厚生など全般において性別による差別の禁止

男女雇用機会均等法

とあるように、どちらか片方の性別を限定・歓迎する募集はもちろん、女性だから、男性だからという理由で応募を断ることも法律違反となるおそれがあります。「男性歓迎」「女性歓迎」といった表記のほか、「配置・昇進及び教育訓練や福利厚生などの性別による差別」、「原稿全体でどちらかの性別を限定・歓迎していると誤認させるような表現」もすることはできないのです。
それでは原稿を作成する時に書いてしまいがちなNG表現をいくつか紹介します。

資格でありがちなNG表現

  • 女性歓迎
  • 男性のみ
  • OL歓迎
  • 主婦歓迎
  • 男性お断り

主婦さん歓迎!などは意識せずやってしまいがちな表現。男女どちらかを「限定」「排除」するだけでなく「歓迎する」こともNGです。主婦募集のように女性名詞を使うのであれば「主婦・主夫歓迎」のように、両方の性を募集していることがわかるように並べて書くことがポイント。また、「女性活躍中」のように事実であればその旨を表記することは可能です。

職種でありがちなNG表現

  • 営業マン
  • カメラマン
  • ウェイトレス
  • 看護士
  • 一般事務(女子のみ)

こちらも何気なく書いてしまいそうな職種での表記ポイント。
「○○マン」などは男性募集と判断されてしまうため気をつけましょう。カメラマンをフォトグラファーと言いかえたり、最近は男女によらない職種名も増えてきたためそちらを使うこともオススメします。ウェイトレスなど女性名詞をどうしても使いたい場合はウェイター・ウェイトレスのように両方の名称を掲載することで男女どちらも募集していることを伝えることができます。

その他トラブルになりやすい表現

  • 女性は細かいので検査に向いています。
  • 力をつかう仕事のため男性が適しています。
  • 女性が働きやすい職場です。
  • 男性寮完備
  • 女性は制服貸与

仕事内容や待遇・福利厚生でよくありがちなNG表現になります。保育士・栄養士・歯科衛生士・大工・機械技術者・ITエンジニアなど、働いている方がどちらかの性別に偏っている職業も数多くありますが、「仕事の向き不向きを決めるのは、性別によるものではなく個人の適正において判断される」という原理原則を第一に考えて作成することが大切です。

「体力がある=男性」、「器用=女性」といったイメージも根強くあるので求人広告を作成する際には気をつけましょう。また福利厚生では実際に男性寮しかないというケースもあるかと思いますが、こちらは女性寮を用意する、女性専用の借り上げ寮を準備するなど実際に差別解消の措置を取ることが求められます。ちなみに女性には家賃手当を支払う、では差別解消にはつながりませんので注意が必要です。

例外もあります

レアケースとして男女異なる取り扱いが可能になるケースに該当する場合は、適用除外職種として男性または女性に限定して募集することができます。

(1)守衛・警備員
(2)芸術芸能分野
(3)宗教上・風紀上

…など、業務の性質上、男女いずれかの性が従事しなければならない職務などがあります。

さらに男女間での役割分担の格差解消や均等な雇用機会の確保を目指す「ポジティブ・アクション」の実施も違法として取り扱われることはありません。
女性が働きやすい会社・職場環境を提示することができる「女性活躍促進法」もあります。
こちらは下記に詳しい内容が掲載されていますので、気になる方は確認してください。

厚生労働省 ~ポジティブ・アクションについて~
厚生労働省 ~女性活躍促進法について~

さいごに

いかがでしたか?今回は男女雇用機会均等法の表記ポイントについて紹介してきました。制定されて40年近くになりますが、昨今のジェンダー意識の高まりや企業内ハラスメントなど、改めて法律の意義を問われる機会も増えてきています。男性だから、女性だからという理由ではなく個々人が能力を活かして働くことができる環境を整え、募集・採用する際には法律に違反していないかを良く注意して求人活動を行いましょう。

この記事を書いた人

畠山隆之

「関わる人と企業を少しでも幸せに。」
リクルートメディアの入稿管理を経て、求人広告制作や原稿の品質管理を担当しています。