データ振り返りの際、注視するポイント

求人広告の主戦場がウェブへと移った今、以前と比べて大きな変化は「結果だけでなく、求人を出している間のネット上での動きがデータで収集できる」という点になります。収集したデータが、何を表しているのか?何が原因なのか?どういった改善案があるのか?その基礎を知っておくだけで、今後の採用活動に大きな変化が出てきます。

求人広告掲載後、振り返りのデータや資料を手にすることがあると思いますが、何を基準に良いor悪いの判断をすれば良いのかピンときていない…そんな悩みをお持ちの採用担当者様にこそ、この記事は参考になると思います。

はじめに

ここ数年で、求人広告の領域には大きな変化がありました。回線速度の高速化、スマホの普及によりネットが一段と身近になった影響で、殆どの求人媒体が「紙」から「ネット」へ場を移しています。

求人広告の振り返りの観点から見ると、紙媒体の時にはわからなかった、
「どれだけ表示されたのか?」→どれだけの人の目に留まったか
「何回クリックされたのか?」→どれだけの人が詳しく見てくれたのか
など、今まで分からなかった多くの事が分かる様になり、建設的な会話から振り返りが出来るようになりました。

しかし、
・そのデータは何を表わしているの?
・相場の数値ってどのくらい?
・何が良くて何が悪かったの?
・どうすれば良いの?
など、数値を見ただけではわからない事も多いと思います。

今回は採用活動を終えた後の求人広告の振り返りについて説明していきます。

そのデータは何を表わしているの?

求人媒体によって、出てくる掲載後のデータフォーマットは様々ですが、殆どの場合、【一覧数】・【クリック数】・【応募数】この3つが基本的な指標です。

【一覧数とは】
一覧PV数や表示回数とも呼ばれます。ネット上で検索等した際に検索結果一覧で表示された回数です。

【クリック数とは】
PV数や閲覧数、詳細数とも呼ばれます。一覧で表示された後、クリックやタップされて詳細ページまで遷移した回数です。

【応募数とは】
WEB上で応募があった数です。電話応募等はカウントされない場合が多いので注意が必要です。

上記3指標から派生して語られる指標が、【クリック率】と【応募率】です。
【クリック率】:詳細率÷一覧数
【応募率】  :応募数÷詳細率

平均的な相場データ

【一覧数】・【クリック率】・【応募数】等は、募集エリアや募集情報(時給や待遇など)、掲載媒体、掲載期間により大きく変動するので一概に相場データを出すのは難しいです。媒体営業であれば、各メーカーが出してくる相場データがあるので、エリア×職種ぐらいで検索をかけ出してもらい、自社データと照らし合わせるのがベストです。

しかし、【クリック率】と【応募率】に関しては、一般的な基準値が存在します。
業種やエリアによって変化しますが、私のお客様のところでは、
【クリック率】基準値:3.5%
【 応募率 】基準値:1.0%
クリックで言えば、1000回表示されれば、35クリック。
応募でいけば100回クリックされれば1応募。

振り返りデータを見て、「100クリック以上あるのに1応募も無い…」等、基準値を下回っていれば、おおよその平均よりも悪い値で推移していると考えて良いかと思います。
一つの基準にしてみてはいかがでしょうか。

何が悪かったの?

データの見方が分かっても、次は「何が悪かったのか」「どう改善していけばよいのか」が分からないと思います。しかし、先程お話した指標さえ理解していれば、悪かった要因は大きく3パターンに分類されます。その3パターンとそれぞれの改善策を一部ご紹介します。

一覧数が少ない場合:検索されない求人

検索されやすい仕組みが出来ていないことに原因があります。
媒体に設置してあるメリットマークが設定されていない
 →メリットマークが設定されているか確認する
 →「履歴書不要」や「ネイル・髪色自由」等、今まで無かったメリットを検討する
・フリーワードで検索されやすいキーワードが原稿内に入っていない
 →googleやYahoo!で良く検索されているキーワードを原稿内に盛り込む。

クリック率が低い場合:検索されてはいるが、クリックされない求人

一覧の画面に出る情報は、殆どの媒体が基本情報のみなので、そこが魅力的でない求人だと考えられます。
NET表示画面、一覧見だしの変更
 →良い情報が多く伝わるよう一覧表示画面を変更する
競合と比べて条件負けしている
 →基本情報のみの情報で、判断されているという事は、給与や待遇の改善、見直しが必要な可能性があります。
  競合がどれぐらいの条件で掲載しているのか比較し、条件変更を検討した方が良い場合があります。
掲載写真の変更
 →ほとんどの媒体で一覧画面に写真が表示されます。
  職種等によっても異なりますが、会社の外観だけの写真等だと、職場環境等が伝わりにくいので、スタッフの写真を入れる等の工夫が必要な場合があります。

応募数が少ない場合:クリックはされるが、応募されない求人

仕事内容が詳細に書かれていない
基本条件(一覧表示画面)では魅力的だった求人も、いざ求人内容を見みると、仕事内容がよくわからず離脱してしまいます。

「事務募集」を例に考えてみます。
A:一般事務のお仕事。パソコン操作等をお願いします。※エクセルを使用しての作業有
B:一般事務のお仕事。エクセルを使ってのデータ入力/電話対応/見積書の作成/書類の整理等をお願いします。※関数等は使用しないので文字入力が出来ればok

比べてみると、Bの求人の方が具体的で、どこまでのレベルを求めているのか分かりやすく、自分でも出来るイメージを持ってもらいやすいです。

・ターゲットがしっかり設定されていない
例えば…主婦もターゲットの求人なのに、学生寄りの文言(サークル活動優先OK、テスト考慮します等)が多いと、主婦が原稿を見たときに離脱してしまう可能性があります。主婦もターゲットであるならば、主婦よりの文言(子どもの発熱にも対応します、20代~40代女性活躍中など)も原稿に盛り込むなど、主婦は主婦用・学生は学生用の内容を記載して原稿を作成し、それぞれ出稿するべきです。

おわりに

求人媒体を掲載した後に出てくる振り返りデータ。媒体の主戦場がネットに移管したからこそ分かる事が多くあります。
「求人媒体に高いお金を出して出稿したのに、応募が0件。お金をドブに捨てたようなものだ…」という志向はもう古い考えなのかもしれません。求人を出した結果、ネット上でのデータが手元に残る。その数字が、何を表しているのか?何が原因なのか?どういった改善案があるのか?その基礎を知っておくだけで、今後の採用活動に大きな変化が出てきます。

データを元に次の策を練っていく。
その結果をもとに次回原稿を練り直し、また振り返る。
PDCAを回し、自社の勝ちパターンを見つければ、必然的に求人予算も大きく削減できるはずです。

この記事を書いた人

葛尾健太

【株式会社リクルーティング・デザイン】新卒から4年間は東海、現在は関西で3年間リクルート求人媒体・indeedの販売・運用のお手伝いをさせて頂いてます。人事の方々に役立つ記事を少しでもお届けできたと思っております。