求人する時に意識したほうが良いこと(アルバイト・パート採用編)

求人しても全然応募が無い・・・そんな経験がおありになりませんか?
そんな時は自社が求めている人材が通勤圏にいるかどうかを俯瞰してみるのも一つの手です。
この記事では、世の中にあるネット情報を検索するだけで、自社の募集が成功するかどうかを把握することができる方法をお伝えします。

通勤圏にいる人たちを知る

アルバイトやパートで募集をするときに「お昼の時間帯で働ける方は主婦さんかな」、「夕方の時間で働ける人は高校生や学生かな」、「フリーターさんにがっつり働いてほしい」と想定して募集をかけると思います。
が、結果として狙った応募が来ない・・・。そんな時は自社の通勤圏の人口を見てみましょう。
各市町村のホームページには、「統計情報」のコーナーがあります。ポイントとなるのは「学区」です。学区は各市町村で小学校の通学圏によって分かれています。人口統計情報も学区別に分かれた情報が出ているところが多いです。(市町村によってない場合もあります)通常、主婦の方であれば通勤しやすい学区内で仕事を探される傾向があります。

Googleで「●●市 学区マップ」と検索すると、その市の学区マップが分かるサイトが出てきます。そこで自社がどの学区内にあるのか、隣接している学区はどこかを把握してみましょう。次に、各市町村のホームページで統計情報を探します。
各市町村は毎月人口の増減データを様々な形式でホームページにアップしています。
なので、人口情報でも町別だったり、年齢別だったりと様々な切り口で出した情報が出てきてしまいます。
大抵の場合、町別だと町別に男女の差は分かるけど年齢は分からない、
年齢別だと年齢の差は分かるけど、どのエリアに住んでいるか分からないといった情報が出てきてしまいます。
そこで、学区別人口を見ると、「小学校区別5歳階級別人口・世帯数」というような、エリアと年齢が欠け合わさったデータが出てくることが多いので、こちらを活用します。
個人的には5歳階級別をよく使いますが、高校生が欲しい、大学生が欲しいなどのピンポイントの年齢を見たい場合は1歳階級別のデータを参照するといいです。
ちなみに、市町村のホームページから情報が探しづらいということなら、googleなどで「○○市 学区別人口」のように検索すると、該当した情報のページが出てくるので無理せず情報にたどり着けると思います。

学区別の人口から読み取れることは、自社が求めている人が通勤圏にいるかどうかです。
高校生のバイトが欲しいと思っていても、通勤圏学区内の15歳~18歳の人口が全然いなければ、高校生の募集はとても難しいという事が分かります。
それが分かれば、高校生狙いで募集を出すという求人広告に無駄な投資をしなくて済むようになりますよね。
この要領で主婦さん狙い、フリーター狙い、シニア狙いなど自社の募集時間に合う人たちはどれくらいいるのか、どのゾーンを狙っていくのが効率的なのかを把握して募集する方が、状況を把握することなく募集するよりも効果が出やすいと思います。

採用競合店の給与相場を知る

対象となる人物が通勤圏に住んでいることを確認できても、必ず応募があるわけではありません。
採用は他の店との競争になるからです。有効求人倍率という言葉は聞いたことがあると思いますが、100人の求職者に対して何件の求人があるのかという意味です。
例えば、2020年9月現在の日本全体の有効求人倍率は1.03ですが、これは求職者100人に対して103件の求人があるという状態です。つまり、全ての求人に1人ずつ採用されれば、残念ながら採用できなかった会社は3社のみということになります。

これだけ聞くと「採用できるんじゃないか」と思われるかもしれません。
ですが、これは数字のマジックでしかありません。順当に1社ひとりずつ採用するなどという事はあり得ないからです。極端に言えば1社に応募が100件来ていて他の102社は応募ゼロであっても有効求人倍率は同じ1.03です。一部の良い求人に応募が殺到して他は応募が無いという事はよくある話です。同じ飲食店で同じ時期、同じ求人原稿サイズで募集していても、一方は応募30件以上、もう一方は応募ゼロという事はよくある話です。
有効求人倍率だけを見て「今は採用しやすい」と思っても、採用できるとは限らないのです。それでも2019年9月が1.53だったことを思えば、以前より期待値が高まっているのは間違いありません。

せっかくのチャンスで採用機会を逃さないよう、近隣の採用競合に目を向けてみましょう。
調べ方はGoogleで「●●店 時給」というように検索してみましょう。●●は自社がある地域の名称です。そうすると、そのエリア近辺の求人情報がGoogle for jobs(グーグルフォージョブズ)で出てきます。いろんなサイトを見なくてもこれを見れば時給だけは簡単に一覧でみることができます。この方法であれば業種に関係なく単純に時給相場を参考にできます。

時給に差が無いと思ったら、次は「交通費支給」「入社祝い金」や、飲食店なら「まかないあり」など、求職者にとってのメリットを検討することが必要です。現在、求人の際の条件として交通費支給は当たり前になったので、「交通費が出るから条件が良い」ではなく、交通費が出るのが普通、出なければ条件が悪いという認識でいた方が良いです。

自社で働いている人たちを知る

時給は上げれない、交通費も出せない、特に特徴的なメリットがない。採用競合におおよそ条件では勝てそうもない・・・。そういったお悩みもあるかと思います。
実際、アルバイト・パートの募集は条件で決まるのが8割といっても過言ではありません。コロナ禍の今では余裕をもって採用をするということは難しいのではないでしょうか。そんな時は自社で働いている人たちに目を向けてください。

どこから通っているのか?なぜバイトやパートをしているのか?なぜウチ(自社)で働こうと思ったのか?
そこに必ず採用のヒントがあります。
求人広告担当が「働いている人に取材させてください」とお願いするのは採用競合に勝てるポイントを掴むためでもあります。
自社では当たり前だと思っていることでも、外側にいる人には魅力になることも多々あります。
例えば、「まかないあり」という条件で募集してたある飲食店の話です。話を聞くと、まかないはその日のシフトに入ったアルバイトの子がお店の食材を利用して自分で考えて作っているというものでした。そこで、「まかないはバイトの腕試しの場。見事人気を勝ち取って看板メニューになったものも。メニュー考案手当あり」という内容と、新しい手当の導入をご提案しました。
すると、今まで応募が無かったフリーターや学生の応募が増えました。

同じ「まかない」でもそれに付随する情報を出しただけで応募効果につながった事例です。
バイトの応募が来る、バイトのモチベーションが上がる、お店のメニューが増える、売上が増える…
結果的に、いいスパイラルをご提供できるきっかけとなりました。
条件は場合によっては、新しくつくることができるので、まずは今置かれている状況をしっかりと客観的に把握し、それに対応した戦略を立てることができれば、どんな求人でも活路は見出せると思います。

この記事を書いた人

逸見光隆