求人広告を作成する時に気をつける法律は?第二回『最低賃金法』について

求人広告を出す際には、最低賃金法について知っておくことが大切です。
最低賃金法は、労働者に支払う最低賃金を定めた法律であり、求人広告にも適用されます。
もし法律に違反すると、厳しい罰則が課せられる可能性もあるため、注意が必要です。
この記事では最低賃金法のポイントを簡単に解説しています。
ぜひ読んで、求人広告掲載時の注意点をしっかりと把握しましょう。

最低賃金法とは?

最低賃金法は、働く人たちが最低限度のお給料をもらえるように定められた法律です。
これにより、労働者の生活水準が守られ、適正な労働環境が整えられます。
求人広告を出す際には、必ず最低賃金法の適用範囲を確認しましょう。
最低賃金は時給で設定されており、1か月の基本給が対象になります。
地域や産業によって異なる最低賃金がありますが、どちらか高い方の金額が適用されます。
ビジネスにおいても、社員の生活水準を守り、適正な労働環境を整えることが大切です。
働く人たちが安心して働けるように、最低賃金法をしっかりと守っていきましょう。

ポイント

※詳しくは厚生労働省のページを確認ください。
※地域別最低賃金はこちら

時給・日給・月給の最低賃金の計算方法

時給の最低賃金は、1時間あたりの最低賃金額を基準として計算されます。
時間給≧最低賃金額(時間額)
例えば、最低賃金が1000円であれば、時給の最低賃金は1000円となります。

日給の最低賃金は、1日あたりの労働時間数を掛けた金額を基準として計算されます。
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
例えば、1日の労働時間が8時間で最低賃金が1000円であれば、時給1000円×8時間で日給の最低賃金は8000円となります。
※ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合は日給≧最低賃金額(日額)

月給の最低賃金は、1ヶ月あたりの労働時間数(正確には1ヶ月平均所定労働時間)を掛けた金額を基準として計算されます。
月給÷1ヶ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
例えば、1か月の労働時間が160時間で最低賃金が1000円であれば、月給の最低賃金は16万円となります。
ただし、月給制の場合は労働時間が固定されているわけではないため、注意が必要です。
※月給の計算に関しては、詳細は下記リンク参照ください
 厚生労働省:最低賃金額以上かどうかを確認する方法

ポイント

求人広告においてミスをしがちなポイント

1.固定残業手当の金額

残業手当は1時間あたりの賃金(時給)×1.25(割増率)×残業時間で算出されます。
忘れがちなのが残業時の割増率である「×1.25」。
割増率の計算を忘れることで最低賃金違反となってしまう場合があります。固定残業手当の計算では割増率の計算を忘れず行いましょう。

2.更新前の求人原稿をそのまま掲載してしまった

こちらは確認もれになります。
求人広告掲載時には給与や収入例、試用期間中の給与などを含め間違いがないか?を一つひとつ丁寧に確認することが大切です。
またHPなどに掲載されている求人情報の内容が古くなっていないか?なども合わせて確認しましょう。

3.派遣先が他県など他地域の場合

派遣社員の場合は派遣元ではなく、派遣先の最低賃金が適用されます。勤務地はどこか?を良く確認しましょう。
※1日だけの短期で他県でイベントの仕事をする。といった場合などは除きます。

ほとんどの場合、最低賃金違反は原稿の確認もれにより発生します。掲載前には必ず給与金額を確認しましょう。

最低賃金法違反によるペナルティとその影響

最低賃金法を守らない企業には厳しいペナルティが課せられます。
違反した場合、罰則としては賃金の支払い差額の支払いや、追加で賃金を支払うことが求められます。
それでも支払いを怠った場合は罰則が科せられます。

罰則は以下の通り
●地域別最低賃金:50万円以下の罰金
●特定(産業別)最低賃金:30万円以下の罰金

さらに、労働者からのクレームがあった場合には、調査や訴訟による費用もかかることがあります
また、罰則が公表されることで企業の信用やイメージも損なわれる可能性があります。注意しましょう。

まとめ

最低賃金は都道府県で施行される日こそ違いますが、毎年10月には変更されます。
近年ではコロナのため2020年に据え置きとなったこともありましたが、基本的に引き上げられ毎年過去最高額が更新されています。(2022年は30~31円引き上げられました)
2023年については物価高もあり、最低賃金(最低時給)については2022年同様の上がり幅が期待され、全国平均で初の1000円超えが実現するかもしれません。
例年7月には今年の上がり幅が公開され、その後、各都道府県で決定されますが、金額が確定するのは毎年9月中旬頃、施行は10月初旬と余裕もありませんので、前もって準備をしておくことが非常に大切です。
求人原稿はもちろん、ホームページに掲載されている採用情報などを含めしっかり確認して正しい情報を提供していきましょう。

※2023年度の最低賃金改定の目安が発表され、全国平均で時給1002円。2022年時点での961円に対し引き上げ幅は41円となり、1978年度の現制度が開始して以来の最高額となっています(2023年8月21日現在)

この記事を書いた人

畠山隆之

「関わる人と企業を少しでも幸せに。」
リクルートメディアの入稿管理を経て、求人広告制作や原稿の品質管理を担当しています。