ごあいさつ
読者の皆さんこんにちは、介護特定技能研修講師・主任ケアマネジャーの田端です。今月もこの文章を読んでいただきありがとうございます。
まだまだ残暑が厳しい・・と思っていたら台風が来て暑さまであっという間に奪っていってしまったような気候になりましたね。9月はシルバーウィークと呼ばれる連休がありましたが、残念ながら台風の影響を受けてしまいました。みなさんは思うように過ごすことができましたでしょうか?実は今年も残すところあと数ヶ月なんですよね・・台風の後の静けさの中で準備を整え満足して今年を締めくくることができるように、と気持ちを新たにしました。
接遇・マナー研修を終えて思うこと
先日初めて講師を務めることになった接遇・マナー研修が無事終わりました。タイトルは「現役ケアマネジャーと考えよう、これからの介護現場における接遇・マナー」としました。参加した介護職の方にも、依頼をいただいた担当者の方々にも喜んでもらうことができ本当にホッとしました。
研修の中で接遇・マナーについて考えるヒントになる25個のキーワードを挙げました。その中のいくつかを紹介したいと思います。
まずは「会話ではなく対話」というキーワードです。接遇・マナーについて考える時、コミュニケーションの必要性は誰もが理解できると思います。その入り口となる会話はもちろん大事ですが、そこからさらに対話まで踏み込んでほしいのです。対話の意味は「向かい合って話すこと。相対して話すこと。二人の人がことばを交わすこと」とあります、考えを共有するなど関係性を深めたい時、会話ではなく対話することが重要だと考えます。みなさんは周りと対話ができていますでしょうか?
相互理解
さらに相互理解という言葉もキーワードに挙げました。
以前から私が介護においては大事な3つ、と提唱している「あたたかさ」「笑顔」「思いやり」の「思いやり」に近い言葉になるでしょう。お互いを理解する、理解しようとすることこそが重要であると考えます。
相互理解とは「他人同士で互いに異なる価値観や人間性、考え方を理解し合う」というような意味合いで使われることが多いです。
組織内では従業員同士の関係性において、同僚同士や上司と部下、どういった関係性であったとしてもこの相互理解が重要になってくるのです。 相互理解が深まっていればコミュニケーションが円滑に行えるようになり、部門間での連携も取りやすくなり心理的な安心感も強まります。
感情労働
「感情労働」もキーワードとして挙げました。
感情労働とは表情や声や態度において、喜怒哀楽の感情をコントロールして職務にあたることをいいます。
一般的に体を使って行う仕事を肉体労働、頭を使って行う仕事を頭脳労働といいますが、それらに加えて、感情を管理して行う仕事が感情労働です。社会学者のA・R・ホックシールド氏によって提唱されました。
感情労働はどんな時でも自身の怒りや哀しみなどの感情を出さずに、ホスピタリティを持って顧客にサービスを提供しなければなりません。代表的な職種に医療従事者や教師・販売員・コールセンターやカスタマーセンターの従業員などが挙げられるでしょう。その中にはもちろん介護従事者も含まれています。
肉体労働や頭脳労働といわれる仕事でも、上司やクライアントとの関わりのなかで感情労働を強いられる場面があり、現代社会ではさまざまな職業において感情労働が増えてきていると言われています。
まずは自分の感情を大事にし、丁寧に向き合うことが相互理解には欠かせないはずです。
感情労働という言葉を意識することでお互いを思いやることにつながってほしいのです。
ディスカッション
介護の勉強会はオンラインによる遠方からの参加者がどんどん増え、距離もどんどん遠くなり、とうとうネパールとオンラインでつないで講義をすることになりました!
日本とネパールの時差はほとんどないため、画面の向こうの受講生の国が違うというのが実感できず不思議な気持ちになります。何度か参加して頂いて顔も覚えてくると本当にすぐ近くにいるような気持ちで画面に語りかけるようになってきます。
最近の取り組みとして参加者同士、積極的にディスカッションしてもらうようにしています。介護についてのテーマをひとつ投げかけたら、その話題について話し合ってもらいます。最初はぎこちなくても同じ目的を持った仲間同士なので打ち解けるのは早く、日本語ではなく母国語で話してもらうので盛り上がっています。
オンラインの場合同じ場所を共有している感覚が薄いため、ただ講義を聞いているだけではやはり集中力を保つのも難しいです。
積極的に話してもらい、自分の意見を発表できる形を作ることで仲間意識も強くなることを期待しています。
これからの日本の介護は、日本人、特定技能外国人が心を一つに支えていかなければなりません。新型コロナウイルスが落ち着けば、恐らく外国人の介護職が急増します。数を増やすだけでなく技術を伝えるだけでなく「心」を伝えて行きたいとあらためて考えました。
これからも私たちの試行錯誤の中から見えてきたものを発信していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。