コロナ禍以前、観光・宿泊業界では、来日する外国人観光客が増加し、ホテルや旅館での人手不足が問題とされていました。また、今後のさらなる外国人観光客の増加に向けての人員の確保、インバウンド対策として、外国人雇用が注目されていました。
しかし、コロナの影響で、観光・宿泊業界の半数以上が売上▲80%となるなど、大きな打撃を受けました。
現在、移動を伴う出張を控える企業が多くなり、コロナの影響が根強く残る都心のビジネスホテルはまだまだ集客に苦戦する一方で、「Go To トラベル」の施策投入によって、地方の高級旅館やホテルは予約が続々と埋まるなど、回復傾向もみられています。観光・宿泊業界の回復に向けて、そういった旅館やホテルは、近い将来、人手不足の状況に陥ることも十分に考えられます。
そこで、再び「外国人雇用」に目を向け、計画的な採用活動をしていくことは、非常に重要です。
今回は、観光・宿泊業界の企業様が、どんなビザ(在留資格)を持つ外国人を雇用できるのか、また外国人雇用するメリットについて、ご紹介します。
観光・宿泊業界で、働く外国人のビザ(在留資格)は?
観光・宿泊業界で働く外国人は以下の在留資格を取得する必要があります。
(1)技術・人文知識・国際業務
(2)特定技能「宿泊」
(3)身分系(永住者・配偶者・定住者)
(4)技能実習
(5)留学(資格外活動にてアルバイト)
(6)家族滞在(資格外活動にてアルバイト)
(7)特定活動46号(日本の大学卒業者)
(8)インターンシップ
(9)ワーキングホリデー
9つもの在留資格を挙げましたが、今回は
(1)技術・人文知識・国際業務
(2)特定技能「宿泊」
について詳しくご説明します。
技術・人文知識・国際業務
従来からある在留資格で、専門的な知識が必要な業務に従事する際、取得できます。
この在留資格で、認められている業務内容は主に以下になります。
・企画業務
・外国人観光客のマーケティング
・外国人の人事管理業務
・通訳・翻訳
・外国語でのフロント業務
清掃やベットメイキング等の単純作業を付随として行うことはできますが、主の業務として働くことはできません。
清掃やベットメイキング等の単純作業のみに従事している場合、入管法に違反する可能性がありますので、注意しなければいけません。
特定技能「宿泊」
2019年4月から始まった、特定技能という在留資格があります。
特定技能は、宿泊業を含む14業種を対象に新設され、より多くの外国人が観光・宿泊業界に就労できるようになりました。これまで『技術・人文知識・国際業務』の在留資格では認められていなかった、清掃・配膳などの単純労働が、特定技能では認められています。観光・宿泊業界での業務であれば、以下のようなすべての業務に従事できるようになりました。
・フロント業務
・企画業務
・接客全般
・レストランでの配膳
・清掃、ベットメイキング
この在留資格では、業務の制限がないので、『技術・人文知識・国際業務』の在留資格より、雇用がしやすくなったと考えられます。ただ、日本での就労が認められるのが5年間なので、期間が限定されてしまうというのは、一つ検討する点でもあるかもしれません。
在留資格によって、従事できる業務や、働ける時間の制限などもありますので、どの在留資格での雇用がベストなのか、よく考えることが大切です。
観光・宿泊業界での外国人雇用のメリット

観光・宿泊業界で外国人を採用するメリットはいくつかあります。
・インバウンド対策
来日の外国人観光客の対応ができる。
語学を活かして、外国人観光客の案内ができる。
中には3~4ヵ国語、話せる方もいるので、大きな戦力となる。
・人手不足の解消
日本人での採用がなかなか難しく、離職の多い中、観光・宿泊業界で働きたい意欲の高い外国人を雇用することでができ、人手不足の解消になる。
・職場の活性化
外国人ならではの考え方や文化に触れることができ、組織としての刺激となる。
モチベーションが高い外国人と一緒に働くことによって、まわりの社員たちも良い影響を受ける。
・外国人向けの企画発案
外国人の目線でのアイデアを用いた企画やサービスを行うことができる。
例えば、宿泊プランの企画・広報なども期待できる。
以上のようなメリットが考えられ、活躍してくれる人材になるはずです。
今回は、観光・宿泊業界が、どんなビザ(在留資格)を持つ外国人を雇用できるのか、また外国人雇用をするメリットについて、ご紹介しました。
これを機に、ぜひ一度、観光・宿泊業界での外国人雇用をご検討いただければと思います。