特定技能介護職の講義における様々な工夫について

ごあいさつ

読者の皆さんこんにちは、介護特定技能研修講師・ケアマネジャーの田端です。
今月もこの文章を読んでいただきありがとうございます。

戦争や地震など、さまざまなことが起きていますね、改めて平和であることの素晴らしさを実感します。高齢者介護の仕事をしていると、その人の辿ってきた歴史に触れることがあります。高齢者の多くが痛ましい戦争や、辛かった過去の災害を記憶しています。私たちはそんな過去から学び、よりよい未来に活かしていくことができます。
そんな気持ちを忘れずに、平和に感謝を抱きながら、今日も目の前の仕事に取り組んでいきたいと思います。

講義の工夫

講義をする際に、実際に体験してもらう、ということを大事にしています。
介護の仕事で使う、さまざまな道具の名前や使い方を言葉で伝えるだけでなく、実際に目で見て、触れて感じてもらう機会を作るようにしています。

例えば高齢者の食事介助の際に食べ物を飲み込む、すなわち嚥下機能を助けるため水分にとろみをつけるという作業があります。講義の中で実際にとろみ剤を使い、お水にとろみをつけるという作業を体験してもらいました。皆さん不思議そうに、お水にとろみがついてゼリー状になって行くのを見ていました。そして実際に食べてもらい、どんな味や食感なのかも体験してもらいました。そして一言でとろみといっても。高齢者の嚥下機能に応じて、どれぐらいの硬さのとろみをつけるのかというポイントも解説しました。

また、排泄介助の際に使う、おむつやパッドも実際に見て、触ってもらい使用時の注意点や、利用者ごとや時間ごとに大きさの違うパットを使い分けることなど、実務に就く際のポイントになることを伝えました。やはり通常の講義よりも反応がよく、真剣な表情や思わずもれる言葉などから好感触を得ることができました。

日本語を楽しく学んでもらう

介護における日本語は、特殊で聞き馴染みがない言葉が多いです。そうした言葉に仕事に就く前に少しでも多く触れてもらおうと意識していますが、難しすぎて気持ちが挫けてもいけません。
さらに介護の用語だけでなく医療についての知識も必要になってきます。楽しく学んでもらうために、クイズ形式で出題するようにして人体の構造や臓器の名前を日本語で覚えてもらうように講義を行いました。言葉を覚えて、同時に機能についても覚えてもらうことを意識しながらクイズの問題を考えました。母国語ではわかるけど・・と悪戦苦闘しながら一生懸命取り組んでくれました。臓器の位置がわかると、高齢者から痛みや不調の訴えがあった場合に痛みや不調の原因や症状がある程度予測できるようにもなる大事な知識です。そしてそれを正しく伝えることで異常の早期発見にもつながってきます。

話を引き出す工夫

介護の仕事ではコミュニケーションの取り方というのが非常に重要です。日本語に不安のある特定技能外国人の方は特に高齢者の方や仕事の仲間とのコミュニケーションに不安を抱くと思います。そのため講義の中でコミュニケーションの取り方についても、時間を多く取りました。

オープンクエスチョン・クローズクエスチョンを使った話を引き出す会話の仕方や、言語的・非言語的コミュニケーションについて、さらに「傾聴」や「オウム返し」といった会話の技法を伝え、実際にロールプレイを行い体験してもらいました。その中に認知症の方とのコミュニケーションを取る場合の注意点も組み込み、認知症についても理解を促しました。

受講生の皆さんも最初は戸惑っていましたが、相手に伝わり、反応があるとコミュニケーションに自信を深めていきました。そうした姿を見ていると。言葉の壁を乗り越えるためにコミュニケーション技法について、私たちもさらに学びを深めて楽しく伝えていけるようになりたいなと感じました。

これからの日本の介護は、日本人、特定技能外国人が心を一つに支えていかなければなりません。新型コロナウイルスが落ち着けば、恐らく外国人の介護職が急増します。数を増やすだけでなく技術を伝えるだけでなく「心」を伝えて行きたいとあらためて考えました。これからも私たちの試行錯誤の中から見えてきたものを発信していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

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この記事を書いた人

田端正樹

介護特定技能 研修講師(昭和50年3月4日生まれ)
31歳から介護業界。
有料老人ホーム介護職リーダー、生活相談員を務めた後、
社会福祉法人にてショートステイ生活相談員を経験後
2016年よりケアマネジャー
2018年よりケアマネジャーを紡ぐ会 愛知支部長
初任者研修等、各種研修講師や第3者評価評価員も務める
令和3年3月より独立、株式会社PLATFORM設立し
単独居宅「居宅介護支援事業所 かなめ」開設