求人広告を作成する時に気をつける法律は?第三回『年齢制限』について

20代の若い人がほしい!
経験のある40代を採用したい!
シニア年代をもっと活用したい!

求人広告を作成するにあたり、年齢を基準として求める人を考えていませんか?

実はこれ全部NGです!
この記事では求人広告や採用時における年齢制限の考え方や、例外が認められる6つの事由について簡単に説明します。
OK表現やNG表現なども合わせて解説していますので、ぜひ読んで、求人広告に活かしてください。

年齢制限の禁止のポイント

平成19年10月、改正雇用対策法が施工されたことにより、事業主は労働者の募集及び採用について年齢制限の禁止が義務化されました。結果、新卒・中途・正社員、パート、アルバイト、派遣などいずれの場合でも採用や募集に際して年齢制限を設けることができなくなりました。

たとえば・・・
●25歳までの方
●20歳から35歳までの方
●若い方を歓迎します!などの表記がそれにあたります。

もちろん「求人広告に書かなければ良い」ということではなく、選考においても、「年齢を理由に採用を断る」こともできません。このため、年齢をもとに採用を考えるのではなく、職務の内容や業務を遂行するために必要な労働者の適性・能力・経験・技能の有無などを具体的に明示することが大切になります。

年齢制限ができる6つの例外事由

もちろん、全ての場合で年齢制限がNGというわけではありません。職務や業務の内容や状況により、労働者や事業者を守るために年齢制限が必要な場合もあります。そこで以下の6つの例外事由を定め、条件を満たすものについては年齢制限を認めています。

例外事由
  • 1号
    定年年齢を上限として、当該上限年齢の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合。
  • 2号
    労働基準法など法令の規定により年齢制限が設けられている場合
  • 3号のイ
    長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、期間の定めのない労働契約の対象として若年者等を募集・採用する場合。
  • 3号のロ
    技能・ノウハウの継承から、特定の職種において労働者数が相当少ない特定の年齢層に限定して募集・採用する場合
  • 3号のハ
    芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
  • 3号
    60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象になる者に限定して募集・採用する場合

ただしそれぞれの例外事由に細かく規定が定められており、求人広告を制作する際にはそれらを守った上、理由を明記しなければいけません。
ここからは、例外事由の中でも特に使われるものを中心に表記の注意点を説明します。

求人広告でよく使用される例外事由の表記例

◆1号(定年)

まず、この1号に当てはまるのは「期間の定めのない労働契約の対象者」となります。これは「契約更新のない労働者」のことで、一般的には正社員を指します。その上で、年齢の上限は定年年齢と同じで下限を設けることはできません。

OK表記例としては
資格:60歳未満(定年のため)
資格:65歳まで(定年65歳のため)
などが代表的です。
NG表記例としては
資格:55歳まで(定年のため) NG理由:60歳を下回る定年年齢はNG
資格:55~60歳 NG理由下限は設けられない
となります。

また、契約社員やアルバイト・パートは契約上限年齢(定年)00歳と待遇等で表記し、資格ではなく会社制度の説明としておくとよいでしょう。


◆2号(法令の規定)

こちらは法令の規定となります。法令もいろいろありますが、代表的なものとしては警備業法や深夜労働、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)などが当てはまります。

OK表記例としては
22時~翌5時までの深夜労働や警備業、風営法などにおいて、資格:18歳以上(法令による)となります。

ちなみにパチンコ店の店員は18歳以上(法令による)とは表記できません。これは遊戯される「お客様」の年齢制限はありますが、「従業員」の年齢制限はないこと、が理由となります。他にも受動喫煙対策として20歳以上なども表記できます。


◆3号のイ(長期勤続によるキャリア形成)

求人広告において良く使用される例外事由です。
ポイントは1号でもありましたが、「期間の定めのない労働契約の対象者」であること。いわゆる正社員の募集しか利用できません。契約更新がある労働者(アルバイトやパート・契約社員や派遣社員)はあてはまりません。加えて「職業経験について不問」とすること「新規学卒者以外の者にあっては新規学卒者と同等の処遇であること」と規定されています。

NG表記としては
資格:◯◯業務の経験者
資格:ブランクある方歓迎
資格:元フリーター歓迎
資格:アルバイトの経験が活かせます。

などの就業経験を求める直接的な表記のほか、資格:第一種電気工事士資格取得者など就業経験がないと取得できない資格を求める表記もできません。他にも応募書類として「職務経歴書」などを求めることもNGですので資格だけでなく求人広告全体の表記に気をつけましょう。

OK表記としては
未経験歓迎や経験不問のほか、簿記2級など実務経験がなくても取得できる資格については問題ありません。
また、資格:45歳までの方(キャリア形成のため)のように上限年齢しか設定できませんので注意してください。


◆3号のニ(高齢者や特定年齢層の雇用促進)

代表的に「60歳以上」の高齢者を限定して募集する際に使われる例外事由となります。
「75歳まで」のように上限は設定できませんので注意ください。
また、年齢不問の募集であり、60歳以上の高齢者/シニアも歓迎したい場合などは60歳以上歓迎!ではなく60歳以上活躍中!というように、事実を伝える「活躍中!」という言葉を利用すると良いでしょう。

NG表記は
資格:シニア歓迎(高齢者の雇用促進のため)です
シニアやミドルといった年齢が曖昧な表記で「歓迎」することはNGです。
こちらも「活躍中」という言葉に置き換えましょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は年齢制限の禁止の表記ポイントについて紹介してきました。

大切なことは年齢で制限をかけるのではなく、写真を使って職場の雰囲気を伝えたり、仕事内容や待遇を表記することで、求職者が働くイメージを具体的に持てるようにすることです。男女雇用機会均等法でも触れましたが、求人広告の最大の目的は職務をこなす適性や能力がある人材からの応募を募ることです。年齢よりも「できること」を大切にして採用活動を行いましょう。

※参考 厚生労働省:募集採用における年齢制限禁止について
※参考 厚生労働省:その募集・採用年齢にこだわっていませんか?

この記事を書いた人

畠山隆之

「関わる人と企業を少しでも幸せに。」
リクルートメディアの入稿管理を経て、求人広告制作や原稿の品質管理を担当しています。