外国人を雇用する際の注意点

外国人を雇用するとき、「採用活動→在留資格の取得→入社後のマネジメント」というステップを踏むことになります。ここで日本人の雇用と大きく違うところは、「在留資格の取得」という手続きが間に入ることです。また、入社後のマネジメントに関しても、文化・風習の違い等から、日本人とは違う接し方をする必要性が出てくることもあります。また、採用活動時点では、基本的に日本人の場合と大差はありませんが、外国人には在留資格との兼ね合いから、どういった業務に就かせるか、予め考えた上で行わなければなりません。ここでは、それぞれのステップにおいて留意すべきポイントを簡潔にまとめていきます。

採用活動における注意点

日本人を採用する場合、書類選考や面接を通して、求職者が企業の欲しい人材かどうかを判断するでしょう。このプロセスでは、企業のニーズと求職者のスキルやポテンシャルがどこまで合致するかを見て、適正度を図っていると思います。当然ながら、外国人の場合も、このスタンスは変わることはありません。つまり、外国人の持つスキルが企業のニーズにこたえられるかどうか、判断することが肝要になります。

ただし、外国人には日本語でのコミュニケーションが日本人ほどスムーズでないという欠点があるため、それを補える別の能力を見極める必要があります。また、外国人が日本で働く場合、必ず在留資格を得なければいけないという点にも気を付けるべきです。求めている職種や企業自身の業種が、その外国人が就労できる在留資格の要件を満たしているかを、予め確認しなければいけません。

例えば、風俗営業法の対象となる企業(パチンコ店やクラブ等)では、外国人が働くことは禁止されています。

在留資格の取得

外国人が日本に在留できるための在留資格は29種類もあり、その中でも就労目的で発給される在留資格は、実に19種類に上ります。それぞれの在留資格には、外国人が就労できる業務の範囲が定められています。つまり、外国人は日本で働く際、常に自身の在留資格によって従事できる仕事に制限が加えられています。この制限から大きく外れた仕事ばかり任せていると、最悪の場合、外国人は不法就労として逮捕される可能性があります。もちろん企業側でも、許可された業務以外のことを行わせたということで管理責任を問われ、罰則の対象になります。

もちろん、在留資格を取得するためには、外国人本人が出入国管理庁にその申請をしなければいけません。その申請書類としては、外国人の成績証明書や雇用契約書等があります。また、企業がその外国人を労働者として雇う必要性を説明する理由書等も作成することにもなります。こうしたものから、出入国管理庁は総合的に見ながら、在留資格の許可不許可を判断することになります。

入社後のマネジメント

晴れて在留資格の許可が下りたら、外国人もようやく入社できることになります。しかし、入社後は、コミュニケーションの問題や文化・風習の違いから日本人の常識が通用しない場面が多く見られることは容易に想像ができます。ここでは、中国・韓国・日本を除くアジア地域全体に共通する特性を紹介します。従業員となったアジア系外国人との接し方のご参考にしてください。

社内では、基本的なコミュニケーションは日本語になるはずですが、外国人にとって、日本語は当然外国語となります。日本人は特に、相手の表情を読み取ったり行間を読んだりして察する力が高いといわれています。「わかってくれるだろう」と細かく説明しなかったために認識にズレが生じたという話も聞きます。外国人労働者に日本語や文化の理解を求めるだけではなく、社内でも、外国人労働者に歩み寄る呼びかけや体制づくりも必要でしょう。

また、言語と合わせて知っておかなければいけないのが、文化・風習の違いです。特にアジア系の外国人は、人前で叱られることには慣れていないため、注意を促す時は個別に別室に呼ぶなどする必要があるでしょう。

さらに、宗教上の理由から口にできないものがあったりします。特にイスラム教徒の外国人に豚肉やお酒を強要すると、国際問題にもなりかねません。このように、外国人労働者を雇用する際は、事前に相手の育った国の文化やその人の信仰に関する理解を深める必要もあります。

まとめ

以上のように、外国人を雇用する際には、一筋縄ではいかない課題が多く存在します。
とはいえ、彼らの多くは親日家が多いことも事実です。彼らは日本に強いあこがれを持ち、日本の技術力を習得したいという熱意を持って来日してきます。また、自国よりも高額な収入を得られることを目的に来日する人が多いため、日本人から嫌われるような3K労働もいとわずに熱心に仕事をやり遂げます。さらに、アジアの国はどこも経済発展が著しく、未来に希望を持っていることも彼らの特徴です。

そうした外国人と時間を共にすることで、同僚である日本人にも活力が生まれ、会社だけでなく日本社会のさらなる発展にもつながることと思われます。先の見えづらい今だからこそ、組織に変革を促してくれる彼らのような存在が重要なキーを担っているようにも感じられます。

この記事を書いた人

秋田大介

大学卒業後、資格試験にチャレンジするも失敗。資格を諦め、ようやく社会に出たのは30歳を超えてから。メーカーの海外営業畑を転々とし、思い立って人材業界に飛び込んだ変わり者です。